生誕200年 ミレー展 愛しきものたちへのまなざし

Amitie et Amour a travers I'CEuvre de Millet

府中市美術館

20140910-20141023

 

常設展を開催しました。こちらからどうぞ。 [2014.10.4 up]

2014年9月23日(火) 晴 10時20分~10時55分頃

 

【総評】

 珍しく休日に観に行った為か、ちょっと混んでいました。ミレーというネームバリューも貢献しているような気がします。

 

 ギリシア神話関連ですが、1点ありました。

 

 ジャン=フランソワ・ミレー 「冬(凍えたキューピッド)」

 

 この絵画は以前、私のサイトの「ミレーの山梨県立美術館創立一周年記念」という企画展で「記念切符」を紹介していますので、そこから抜粋しますと、

 

 この絵画については井出洋一郎著「ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか」に、

 

 バルビゾン派のミレーが「冬、凍えたキューピッド」という題で、雪の中、裸のキューピッドが親切な家に入れてもらう絵を描いています。もとのギリシアのアナクレオンの詩では、暖まって元気になったキューピッドに老アナクレオンが黄金の矢を射られて、家の若いメイドさんを追い回すって落ちが付いてる。その絵は、山梨県立美術館にあって、そのキューピッドを、お客さんの多くが天使だと思って見ていたんだよ(P76抜粋)。

 

 と描かれています。<略>

 

 この「アナクレオンの詩」というのが気になってアナクレオンの詩が載っている岩波文庫(呉 茂一訳)「ギリシア・ローマ抒情詩選 花冠」を見てみましたが、載っていませんでした。その他の本も見てみたのですが見当たらず、井出先生のサイトを見てみると、

 

 この『冬(凍えたキューピッド)』の主題のテクストについて私は,ミレー展カタログにも書いたが,前6世紀のアナクレオンAnacreonのギリシア語の原詩と共に,ラ・フォンテーヌ La Fontaineの詩「凍えたアモール,アナクレオンに倣いて」L'Amour mouille: Autre Imitation d'Anacreon が重要と考える.ミレーはラ・フォンテーヌの『寓話』 Fableやその詩作を好み,何度か挿絵化を試みているし,ラテン語は得意な画家も,ギリシア語まで勉強しなかったはずである.(サイトより抜粋)

 

 との事でした。私の手持ちの書籍などで原詩が見つけられなかったのは残念ですが、京都大学学術出版(松原國師著)「西洋古典学事典」を見てみると、

 

 美酒や美少年・乙女を主題にしたイオーニアー方言の軽快な詩5巻を残したが、今は断片百数十篇が伝わるのみである。その洗練された詩風は広く愛好されて、後世にも大きな影響を与え、多数の模倣者を出した(p94抜粋)。

 

 とありますので「凍えたアモール,アナクレオンに倣いて」の言葉通り、ラ・フォンテーヌという方はその模倣者の一人のようですね(この辺の話は全く素人なので単なる憶測ですが……)。

 

 今回の展示では、国立西洋美術館の常設展に展示されている「春 ダフニスとクロエ」がその横に飾られています。因みに「夏(豊穣の女神)」はボルドー美術館にあり「秋」は火災で焼失してしまったそうです。

 

 ギリシア神話関連は1点だけですが、山梨まで行かずに観れたのでとりあえず満足です。ただどうせなら「夏(豊穣の女神)」も観たかったですね~(素人の軽い意見^^)。

【購入グッズ】

ポストカード

 ジャン=フランソワ・ミレー 「冬(凍えたキューピッド)」 \100

 ジャン=フランソワ・ミレー 「アルカディアの羊飼い」 \100

 

 もしかすると「冬(凍えたキューピッド)」のポストカードは展覧会オリジナルではなく、そのまま山梨のを持ってくるのではないかという「嫌な予感」がしていたのですが、当たってしまいました……。

 「アルカディアの羊飼い」の裏面は展覧会オリジナルですね。何かちょっと残念。

 

 因みに「種をまく人」のTシャツが売られていたのですが「種をまく人」の輪郭だけで抽象化されていて、ちょっとお洒落でした。ギリシア神話とは関係ないので買いませんでしたけど、普通のTシャツとして買っても良かったかも。

【ギリシア神話の絵画とポストカード】

No 作者名 作品名 ポストカード
 1  ジャン=フランソワ・ミレー 冬(凍えたキューピッド)