古代ギリシャコインその5

2014年8月30日(土)~

 

 個人的に好きな「梟コイン」に続いて、ちょっと変わった珍しい「モンスターコイン」をご紹介します。

 

 古代ギリシャコインにはギリシア神話のモンスターがデザインされている物があります。有名で、数が多いのはメドゥーサ(ゴルゴン)やキマイラです。

 

 なのですが、たまに珍しいモンスターのコインが出てきます。モンスターのコインは余りサイズの大きな物はないよう(大きくてもヘミドラクマ=トリオボルくらい)で、私の好きな「小さな」コインが多いです。

 

 例外なのがエレクトラム(金と銀の合金)のコインで、ある程度大きな物もあるようです。

 今回の3枚はどれもrare(レア)の注釈があり、確かにオークションでもほとんど見た事がありません。左から、

 

①スキュラ  325-275 BC. AR Obol (10mm, 0.62g, 6h)

②ケルベロス 500-450 BC. EL Hekte 1/6 Stater (13mm, 2.61 g)

③ペガサス  495-478/7 BC. AR Thirty-Second Stater (8mm, 0.56 g)

 
 ①は私の好きなオボルです。小さくて分かり辛いですが、肩から犬が2匹(または3匹)出ています(スキュラさんは蛇と犬が体にくっついています)。
 
 そして更に分かり辛いのですが、右手には「タコ」を持っています。良く見ると小さなタコの足がデザインされています。その左側の膨らみは紫貝です。
 
 スキュラさんには「背びれ」があったんですね……知りませんでした。
 
 ②はエレクトラムですが、意外と小さい方です。ケルベロスのコインは恐らくこのデザインの物だけだと思います。
 
 ケルベロスの頭は3つですが、流石にデザインできなかったのか2つになっています(因みにケルベロスの下にある膨らみは地面とかではなく「マグロ」です。このマグロがデザインされたコインは沢山有り、私は勝手に「マグロシリーズ」と呼んでいます。何故マグロがデザインされているのかは……分かりません^^)。
 
 関係ありませんが、ブリヂストン美術館にあるケルベロスがデザインされている壺も2頭でした。3つは大変なんでしょうね(兄弟犬の2つ頭のオルトロスではないようです)。更に因みにですが、この壺に描かれているケルベロス、Tシャツとして販売されています。
 
 ③は1/32ステーターというちょっと変わった単位で、オボルとかで良いんじゃないかなぁ、という気がちょっとします。

 1円玉と比較すると、やっぱり小さいです。①を除いて裏はインキューズ(刻印)ですので、面白くないのですが、年代の古い証拠とも言えます。

 

 ①の裏面はアポロン神です。周りに3匹のイルカがデザインされているようなのですが、ハッキリ確認できるのは2匹だけです(因みに本当は、このアポロン神の方が表です……)。

 

 この他もレアなモンスターがたまに出るので、入手したらまた掲載したいと思います。