非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品

Voices Calling from the Unusual Hirano Keiichiro's Selection of Western Art Masterpieces

国立西洋美術館

20140408-20140615

2014年4月28日(月) 晴れ 13時40分~13時50分頃

 

【総評】

 

 1枚のチケットで2つの企画展が観れるちょっと変わった形式でした。最初に「ジャック・カロ ― リアリズムと奇想の劇場」を観て、そのまま階段を下りるとこの企画展になります。

 行く前は別の展示室だとばっかり思っていましたので、ちょっと面食らいました。

 

 ギリシア神話関連ですが、3点ありました。

 

 1.クロード・ロラン 「踊るサテュロスとニンフのいる風景」 

 2.オディロン・ルドン 「アポロンの二輪馬車」  

 3.ベルナルド・カヴァッリーノ 「ヘラクレスとオンファレ」 

 

 1.と3.は普段、常設展で観ていますので目当ては2.のルドンさん「アポロンの二輪馬車」。図録を見てみると、

 

 太陽神を上から眺めるこの眼差しの主は、一体、誰だろうか?<略>ルドンはこの主題の作品を数点描いているが、比べてみると、四頭の馬の跳ね方がいずれも異なっている(図録p12抜粋)。

 

 「この主題の作品を数点描いて」とありますが、昨年、損保ジャパン東郷青児美術館で行われた「オディロン・ルドン 夢の起源」のレポートで記述したように「1905年から14年にかけて10点の作品を制作している」との事です。

 この時は「ボルドー美術館」「愛媛美術館」「岐阜県美術館」でしたので、これに「ポーラ美術館」が追加されました(他にも観たような気もしますが……)。更に、

 

 本作品は、四頭がかなり暴れている方で、重量感があり、手綱を握るアポロンの動きも大きい。<略>ピュトンも描かれておらず、これをむしろ、父である太陽神に馬車を貸してほしいと強請って暴走し、大地を焼き尽くした挙げ句、ユピテルの雷に打たれて死んだ哀れなファエトンと見做せば、その眼差しの位置も生きてくるのかもしれない(図録p12抜粋)。

 

 確かにかなり暴れています。ただ、岐阜県立美術館のも結構暴れています。ピュトンやその他アポロンのアトリビュートがなく、言われている通り「太陽神を上から眺める」観点と「何か翻弄されている感」があるので、ファエトンっぽく見えるのは確かで、実際に見た時もファエトンに見えました。

 

 企画展としては小さいですが、普段の常設展とはちょっと違う感じがして、企画的には悪くはないと思います。

 課外授業なのか、中学生が沢山いて「(ジャック・カロより)こっちの方が面白そう」と言っていました。確かに版画は地味でこちらの方が「西洋絵画」っぽいですが、カロさんの版画、あの精緻さは凄いと思いますよ~。

【購入グッズ】 図録 \1,300

 

 図録以外は特にグッズは販売されていませんでしたが、常設のミュージアムショップで、展示されている作品のポストカードに「非日常からの呼び声で展示中」的な事が書かれています。

【ギリシア神話の絵画とポストカード】

No 作家名 作品名 ポストカード
1 クロード・ロラン  踊るサテュロスとニンフのいる風景 ×
2 オディロン・ルドン アポロンの二輪馬車 ×
3 ベルナルド・カヴァッリーノ ヘラクレスとオンファレ ×