ルーヴル美術館展 19世紀フランス絵画--新古典主義からロマン主義へ

Chefs-d'oeuvre de la peinture francaise du XIX siecle dans les collections du Louvre

横浜美術館

20050409-20050718

No:0016_0001

アモルとプシュケ

L'Amour et Psyche

フランソワ=エドゥアール・ピコ

油彩・カンヴァス、233×291cm(Oil on Canvas 233×291cm)

1817年(1817)

ルーブル(le musee du Louvre)

【絵画の中のギリシア神話】 プシュケの話

 プシュケはとても美しかった為(もっともギリシア神話の98%以上は美女ですが……)、美の女神アフロディテより崇拝されました。アフロディテは腹を立て、息子のアモルに醜男と結婚するように仕向けますが、アモルはうっかりと「惚れる矢」で自分を傷付けてプシュケを愛してしまいます。

 

 プシュケは神託により、花嫁としてアモルの用意した宮殿に連れ去られます。この宮殿では美しい音楽が流れ、自動的に食事が用意され、何不自由なく暮らせるようになっていました。夜になるとアモルが臥所を共にしましたが、姿は見せませんでした。この話を聞いたプシュケの姉(2人います)は、その夫は怪物だろうから殺してしまった方がいいと警告し、プシュケもそれに従いアモルを殺そうとします。

 

 夜、眠りこんだ夫を殺そうとランプでその姿を見ると怪物ではなく神のアモルでした。この時、ランプの油がアモルの肩に落ちてアモルは目を覚まします。姿を見られたアモルは、プシュケのもとを去ってしまいます。

 この後、プシュケはアモルの母であるアフロディテを訪れ、許しを請います。アフロディテは穀物の選り分けや人食い羊の羊毛を集めさせる等の難題を出しますが、周りの助けにより、これらをクリアします。

 

 最後にアフロディテは、冥界に行きペルセポネから美をもらってくるように命令します。ここでも助けがあり、プシュケは死なずに冥界に行き、美の入った瓶を手に入れます。しかし帰り途中、つい好奇心に負けて瓶を開けてしまいます。中からは美ではなく「死の眠り」が出てきて、プシュケは眠る屍となってしまいますが、夫・アモルに助けられます。

 

 この後、アフロディテはプシュケを許し、不老不死となってアモルと正式に結婚します。

 

 この絵画は青字部分を描いた物と思います。カタログには、

 

 この若き芸術家が選んだのは、先達ジェラールが描いたような、不意に愛を見出した微妙な瞬間ではなく、アモルがまだ眠っているプシュケの寝床をこっそり離れる場面である(カタログp42抜粋)。

 

 とあります。プシュケは美女というより美少女ですし、アモルも若い神様です(アモルについては諸説ありますが、この物語ではアフロディテの若い息子という事になっています)ので、スケベっぽい濡れ場というより子供同士の遊びのような、爽やかな一場面になっているように思います。

 

 でも、アモルの翼、営みの時は邪魔じゃないかなぁ、と思ってしまうのは余計なお節介でしょうか?


No:0016_0002

海から上がるヴィーナス

Venus anadyomene

テオドール・シャセリオー

油彩・カンヴァス、65.5×55cm(Oil on Canvas 65.5×55cm)

1838年(1838)

ルーブル(le musee du Louvre)


 美術展のカタログには、

 

 天空神ウラノスは息子のクロノスに去勢された。切り落とされた性器は海に投げ込まれ、その泡からヴィーナスが生まれる。彼女はやわらかな風に送られてキュプロス島へと流れ着いた。ヘシオドスが伝えるこの女神の誕生を、足元の大きな貝殻が物語る(カタログp56抜粋)。

 

 とあります。詳しくは 【絵画の中のギリシア神話】 ヴィーナス誕生の話 をご参照下さい。

 

No:0016_0003

スフィンクスの謎を解くオイディプス

CEdipe expliquant l'enigme du sphinx

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル

油彩・カンヴァス、189×144cm(Oil on Canvas 189×144cm)

1808年(1808)

ルーブル(le musee du Louvre)

 

 

No:0016_0004

プシュケとアモール

Psyche et Amour

ジェラール、フランソワ

油彩・カンヴァス、186.0×132.0cm(Oil on canvas 186.0×132.0cm)

1798年のサロン(Salon de 1798)

ルーブル(le musee du Louvre)

【絵画の中のギリシア神話】 プシュケの話

 プシュケはとても美しかった為(もっともギリシア神話の98%以上は美女ですが……)、美の女神アフロディテより崇拝されました。アフロディテは腹を立て、息子のアモールに醜男と結婚するように仕向けますが、アモールはうっかりと「惚れる矢」で自分を傷付けてプシュケを愛してしまいます。

 

 プシュケは神託により、花嫁としてアモールの用意した宮殿に連れ去られます。この宮殿では美しい音楽が流れ、自動的に食事が用意され、何不自由なく暮らせるようになっていました。夜になるとアモールが臥所を共にしましたが、姿は見せませんでした。この話を聞いたプシュケの姉(2人います)は、その夫は怪物だろうから殺してしまった方がいいと警告し、プシュケもそれに従いアモールを殺そうとします。

 

 夜、眠りこんだ夫を殺そうとランプでその姿を見ると怪物ではなく神のアモールでした。この時、ランプの油がアモールの肩に落ちてアモールは目を覚まします。姿を見られたアモールは、プシュケのもとを去ってしまいます。

 この後、プシュケはアモールの母であるアフロディテを訪れ、許しを請います。アフロディテは穀物の選り分けや人食い羊の羊毛を集めさせる等の難題を出しますが、周りの助けにより、これらをクリアします。

 

 最後にアフロディテは、冥界に行きペルセポネから美をもらってくるように命令します。ここでも助けがあり、プシュケは死なずに冥界に行き、美の入った瓶を手に入れます。しかし帰り途中、つい好奇心に負けて瓶を開けてしまいます。中からは美ではなく「死の眠り」が出てきて、プシュケは眠る屍となってしまいますが、夫・アモールに助けられます。

 

 この後、アフロディテはプシュケを許し、不老不死となってアモールと正式に結婚します。

 

 この絵画は青字部分を描いた物と思います。カタログには、

 

 ギリシャ語で魂を意味するプシュケは、人間の魂と神の愛との結合として登場したのである(カタログp192抜粋)。

 

 とあります。ギリシア語でプシュケは「魂(霊魂)」という意味と「蝶」という意味も持っているそうです。ですので、この絵画ではプシュケの頭の上に小さな蝶が描かれています。ポストカードを良~く見ると小さな蝶が描かれているのが確認できます(本サイトのファビコンはこの絵画の縮小ですが、点のような蝶がギリギリ入っています)。

 

 実はこの絵画、一番好きな絵画です。トマス・ブルフィンチさんの「完訳 ギリシア・ローマ神話」の36版、p156に白黒の小さな写真になって載っていて「この本物は綺麗だろうな。1度観てみたいな」と思っていたら、2回も日本も来てくれました。最初に見た時(1997年の東京都美術館)は生まれて初めての鳥肌が立ちました。またいつか、来てくれないかな……。


No:0016_0005

水辺で体を揺すって遊ぶ子どものゼフィロス

Jeune Zephire se balancant au-dessus de l'eau

ピエール=ポール・プリュードン

油彩・カンヴァス、130×98cm(Oil on canvas 130×98cm)

1814年(1814)

ルーブル(le musee du Louvre)