オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由

Naissance de I'Impressionnisme:La liberte de peindre Collections du musee d'Orsay

国立新美術館

20140709-20141020

 

常設展を開催しました。こちらからどうぞ。 [2014.8.2 up]

2014年7月18日(金) 曇時々雨 14時50分~15時30分頃

 

【総評】

 

 混んでいます。平日の昼~夕方の一番空いていそうな時間に行ってみましたが、既に激混み。休日や展覧会の期間後半は凄い事になりそうな気がします。覚悟しましょう~。

 

 ギリシア神話関連ですが、2点ありました。

 

 01.アレクサンドル・カバネル 「ヴィーナスの誕生」

 02.ギュスターヴ・モロー 「イアソン」

 

 両方ともにギリシア神話の絵画的には有名な大物(サイズも大きいです)ですが、個人的には共に「再会」の作品です。

 

 「ヴィーナスの誕生」 → 2004年 東京国立博物館平成館「パリ・ウィーン・シカゴ万博に見る東西の名品」

 「イアソン」 → 1995年 国立西洋美術館 「ギュスターヴ・モロー」

 

 カバネルさん「ヴィーナスの誕生」は有名ですので特に書くことはないのですが、左側に「島」がある事に気付きました。ヴィーナスは近くの島に上陸した事になっていますので、恐らくこれがその島だと思います。

 この「誕生した島」辺りについてはサイト内の「絵画の中のギリシア神話」に書いていましたので、ちょっと抜粋しますと、

 

 もう1つの説は、大神ゼウスの祖父にあたる天空神ウラノスの切り取られた「男根」の血と精液と海が混ざった「泡」から生まれた、という説です。

 <略>

 泡から生まれたアフロディテは近くの島である「キュテーラ島」に上陸し、その後「キュプロス島」に西風神ゼピュロスの風などにより辿り着きました(地図参照)。

 とすると、男根はタイナロン岬辺りに落ちてきたのでしょうか?キュテーラ島に西風で運ばれたとなると、この辺が有力なような気がします。

 

 それにしてもキュテーラ島からキュプロス島は結構遠いです。約700km~800kmはありそうです。東京-岡山間ぐらいで、新幹線のぞみでも約3時間20分。時速300km/hの西風で運ばれたのでは、髪、ボサボサになりそうですね。

 

 時速900km/hなら1時間程度で着きますけど、優雅な西風というよりジェット戦闘機並で、この速度で移動してるアフロディテはちょっと想像したくないですね(ここより抜粋)。

 

 う~ん、綺麗な絵画からかけ離れてますね……すみません。

 

 モローさん「イアソン」、様々な物が描かれていてその一つ一つの意味を知りたかったのですが、今回の図録は、絵画の説明がちょっと薄いように思いました。

 1995年の図録は結構、詳しく書かれていた記憶がありましたので、引っ張り出してきて読み返してみると、

 

 メディアはおそらく怪物を眠らせた薬が入っていると思われる瓶を右手に、若き英雄の肩に左手を置き、後ろからその横顔を見つめている。その右肘には彼女の魔性を象徴するかのような蛇が巻き付いている。

 イアソンの足元には伝説では龍とされる怪物が、鷲の上半身と蛇の下半身を持った一種のグリフォンとして表され、その首には折れた槍が突き刺さり、右隅にその柄の部分とイアソンの盾が見える。

 怪物の尾は剣によって断ち切られ、先はイアソンの右後ろに転がっている。左隅にはそれで薬を飲ませたのだろうか、1つの杯が落ちている。

 羊の頭のついた金羊毛皮は、その上の装飾柱に掛けられ、金毛の房が鱗状に続いている。羊の角からは長い装飾が下がっているが、これはキュベレ女神に捧げられる牡羊を描いた古代の浮彫に倣ったものだと思われる1)。

 柱には更に字の書かれた帯が締められ、モローが1863年、古典に詳しい友人デトゥシュから教えられた『変身物語』第7巻の2つの詩句が記されている2)(p88抜粋)。

 

 最後の「字の書かれた帯」が変身物語の詩句との事ですが、巻7の最初は「イアソンとメディア」ですので、そこからの抜粋なんだと思われます。何が書かれているのか気になりますね~。

【2014.8.9 追記】

 あらためて今回の図録を見てみると、

 

 柱に巻かれた紙の上部にオウィディウス『変身物語』第7巻 66-67行、下部に156-157行の書き込み RF2780(p100抜粋)

 

 とありました(本文にばかり気をとられていて上の方を見ておりませんでした……)。さっそく、岩波文庫 オウィディウス著「変身物語(上)」の対応箇所を抜粋しますと、

 

 66-67行

 愛するものを手にし、イアソンの胸にすがって、はるかな海を渡っていくのだ。あのひとを抱きしめてさえいれば、恐ろしいことは何ひとつない(p262抜粋)。

 

 156-157行

 こうして、英雄イアソンは、金羊毛皮を手に入れた。この戦利品に意気はあがったが、それを彼に与えてくれたメディアも、いわばもう一つの戦利品だ(p267抜粋)。

 

 多分、この箇所だと思われます。ある意味、この物語では一番「幸せな時」を代表する箇所のように思います(この後はイアソンもメディアも悲惨ですので……)。

 

 という事で、図録はしっかり読みましょう~(笑)。

 この他、ギリシア神話ではないですが、気になったのが、

 

 03.ウィリアム・アドルフ・ブグロー 「地獄のダンテとウェルギリウス」

 04.アンリ・ポール・モット 「ベリュスの婚約者」

 05.ジュール・ルフェーブル 「真理」

 

 ブグローさんはギリシア神話の絵画を期待したのですが残念……と思ったらちょっと掠っている「地獄のダンテとウェルギリウス」。飛んでいる鬼(?)の表情が良かったです。何かこっちを「チラッ」と見るんじゃないかと思えました。

 

 モットさん「ベリュスの婚約者」は図録を見ると、

 

 この絵を見る者は、古代バビロニアのベリュス(セム語でバアル)の神殿を満たす深い暗闇につつまれる(p98抜粋)。

 

 とあります。バアル神の事なんですね。大神ゼウスと同一視される(というかバアル神の方が元っぽいですが)バアル神、古代ギリシャコインにも良くデザインされています。錫を持ち、鷲を従え、座る中年男性……ゼウスと区別がつきません。

 

 因みにルフェーブルさん「真理」も2004年の「パリ・ウィーン・シカゴ万博に見る東西の名品」に来ていました(既に忘れてましたが……)。

 

 ギリシア神話は2点と少ないですが、観に行くのに十分価値のある2点だと思います。まぁちょっと混み過ぎですけど……。

【購入グッズ】

 

図録 \2,800

 

ポストカード

 アレクサンドル・カバネル 「ヴィーナスの誕生」 \150

 アレクサンドル・カバネル 「ヴィーナスの誕生(部分)」 \150

 ギュスターヴ・モロー 「イアソン」 \150

 ギュスターヴ・モロー 「イアソン(部分)」 \150

 ジュール・ルフェーブル 「真理」 \150

 エドゥアール・マネ 「笛を吹く少年」 \150

 ギュスターヴ・カイユボット 「床に鉋をかける人々」 \150

 

チケットホルダー イアソン \420

 

B3ポスター ヴィーナスの誕生 \800

 

イヤフォンジャック ヴィーナスの誕生 \700

 

クリアファイル mix \432

 

切手シート \2,000

 ギリシア神話関連は常設展で展示予定です。

 グッズは充実しています。最近では珍しく額絵(B3ポスター)もありました。なのですが、個人的に期待していた「ヴィーナスの誕生」のクリアファイルはなく、マグネットも紹介の項目にはあるのですが、実物がなかったり……(売り切れではなさそうでした)。

 

 因みにグッズ売り場も混んでいます。「イアソン」のポストカードは2種類あるのですが、1種類は左端の方にあり、ちょっとわかり辛いです(危うく買いそびれるところでした)。

 

 後、どうも以前から新美さんは「スマホ」グッズに力を入れている感があります。イヤフォンジャックなんて珍しいですね。

 もっとも私のパソコンは既にジャックされていますがw

 なお、クレジットカードは2,500円以上で利用可能です。

 右端のは作品リストですが……個人的には「普通のA4印刷」の方が好きです。タレントさんを使う費用があるのであれば「ヴィーナスの誕生」のクリアファイルを作ってくれた方が嬉しかったり……。

 新美さんの「袋」はいつも力が入っているように感じます。今回頂けたのは3種類。もっとあるかもしれません(ちょっと貰い過ぎ?)。

 レシートは展覧会名入り。ショップが混んでいて、見過ごしていたのがあり3回も並んでしまいました……。

【ギリシア神話の絵画とポストカード】

No 作者名 作品名 ポストカード
1  アレクサンドル・カバネル ヴィーナスの誕生
2 ギュスターヴ・モロー イアソン