クラインマイスター:16世紀前半ドイツにおける小画面の版画家たち

Kleinmeister: German Small-Format Printmakers in the FirstHalf of the 16th Century

国立西洋美術館

20120613-20120917

2012年7月6日(金) 曇一時雨 13時45分~14時05分頃


【総評】

 

 ベルリン展を観た後、そのまま「版画素描展示室」へ。この展示室は常設展を通って、何となく入りづらい一番奥にある為、普段は空いていますが、今回は比較的人がいたように思います。

 

 展覧会の説明にあるように「葉書大からときに切手大の小さな版画」ですので、入口の横に虫眼鏡が用意されています。私が観終わって帰る時にはこの虫眼鏡が全て貸し出しとなり、係りの方が補充していましたので結構、人がいたようです(たまたまかもしれませんけど)。

 

 ギリシア神話関連ですが、以下の9点がありました。


・ゼーバルト・ベーハム 「トリトンとネレイス」

・ゼーバルト・ベーハム 「パリスの審判」

・ゼーバルト・ベーハム 「ケンタウロスと戦うヘラクレス」

・ゼーバルト・ベーハム 「ネメアのライオンを殺すヘラクレス」

・ゼーバルト・ベーハム 「ヒュドラを退治するヘラクレス」

・ゼーバルト・ベーハム 「トロイア人と戦うヘラクレス」

・ゼーバルト・ベーハム 「ヘラクレスとカクス」

・ゼーバルト・ベーハム 「バグパイプを吹く女サテュロス」

・ハインリヒ・アルデグレーファー 「サテュロスの脚と2人の子供が表された縦長の装飾」


 目を惹いたのは「トロイア人と戦うヘラクレス」。ヘラクレスは、有名な木馬で終わる「トロイア戦争」には参加しておらず、その前にトロイアに遠征し、トロイアをほぼ滅亡させています。この時に生き残ったのが「トロイア戦争」でのトロイア方の王・プリアモスだったり、大アイアスとコンビを組んでいた異母兄弟の「テウクロス」の母、ヘシオネが捕虜になったり「トロイア戦争」に少なからず影響を与えています。

 

 ですが、ヘラクレスとトロイア人の絵画というのはあまり観た事がありません。更にこの版画で珍しかったのは「ヘラクレスが馬に乗っていた」事です。ヘラクレスというと、どうも「徒歩」のイメージがあり、絵画でも馬に乗っているのを観たのは記憶になかったような……。

 

 もう一点、目を惹いたのは「バグパイプを吹く女サテュロス」。サテュロスというと「好色な醜男」のイメージがあり、女性というのは珍しいと思います。

 

 記憶にあるのは、2010年に東京富士美術館で行われた「ポーランドの至宝 レンブラントと珠玉の王室コレクション」展に「男女のサテュロス」という彫刻がありました。この時も「珍しいな」と思いましたが、今回も「女サテュロス」で、かつ小さな版画というのは、これまた珍しいと思います。

 

 個人的に小さい物好き・ギリシア神話好きですので「壺」な美術展でした。グッズは一切販売されていませんでしたが、複製画とか販売したら普通に売れると思う……というか欲しかったです。

 

 因みにこの「版画素描展示室」は常設展と同じく写真撮影OKです。基本的にケータイのカメラはNGですが、係りの方にお願いすると「他の方の迷惑にならないように」という条件で許可してもらえると思います(今まで3回お願いして3回ともOKでしたので、多分……但しフラッシュは当然NGです)。

 

 今回も撮影しましたが、余りに小さい為、上手く撮影できませんでした。接写のできるカメラでないと厳しそうですね。

【購入グッズ】

 販売なし。

【ギリシア神話の絵画とポストカード】

 販売なし。