英国ロマン派展

The Victorian Imagination

Bunkamura ザ・ミュージアム

19980102-19980208

No:0001_0001

ペガソスに乗ってアンドロメダの救出に向かうペルセウス

Perseus on Pegasus Hastening to the Rescue of Andromeda

フレデリック・レイトン

油彩、キャンバス、直径184.2cm(Oil on canvas 184.2cm diameter)

1895-96年頃(c.1895-96)

Leicester City Museums

 

 英雄ペルセウスは怪物・メドゥサの首を持って帰る約束をし、首を切って帰る途中、アトラスを山に変え、更に、岩に縛れた美女(アンドロメダ)を見つけ助けます。助けたアンドロメダと結婚し、約束通り「メドゥサの首」を持って帰ります。

 

 美術展のカタログには、

 

 この絵はペルセウスがいまも生きた蛇が動き回る切りとった頭の入った袋を携え、有翼の馬ペガソスにまたがって戻ってくるところが示されている(カタログp142抜粋)。

 

 とあります。空飛ぶ馬のペガソスはメドゥサの首から流れ出た血から生まれました。そのペガソスに乗ってアンドロメダを助けた話と、ペガソスには乗らずに羽根付サンダルだけで飛んで助けた話もあるようです。

 

詳しくは→ 【絵画の中のギリシア神話】 ペルセウスの話

No:0001_0002

アンドロメダ

Andromeda

エドワード・ジョン・ポインター

油彩、キャンバス、51×35.8cm(Oil on canvas 51×35.8cm)

1869年(1869)

Carlos Sena Collection

 

 英雄ペルセウスは怪物・メドゥサの首を持って帰る約束をし、首を切って帰る途中、アトラスを山に変え、更に、岩に縛れた美女(アンドロメダ)を見つけ助けます。助けたアンドロメダと結婚し、約束通り「メドゥサの首」を持って帰ります。

 

 美術展のカタログには、

 

 ポインターは1869年にはロイヤル・アカデミーに冥界の女神プロセルピナを描いた作品を送っているし、翌1870年にはこの作品、つまり恐ろしい海の怪物の人身御供として両親と郷の人々によって岬の岩に繋がれた裸身の《アンドロメダ》を出品している(カタログp147抜粋)。

 

 とあります。何故アンドロメダは人身御供として岩に繋がれていたのかと言うと、アンドロメダの母親(カシオペアというこちらも美女)が「海神ネレウスの娘(ネレイス)たちより美女」と自慢した為、海を司るポセイドン神が怒り、その怒りを解く為に生贄として出されていました。

 

 別にそれぐらいで怪物の生贄にしなくても、と思ってしまいますよね。まぁでもそれにより英雄と結婚(実はアンドロメダには婚約者がいましたが、少し卑怯者でした)できたのだから、いいのかな……。

 

詳しくは→ 【絵画の中のギリシア神話】 ペルセウスの話

No:0001_0003

ディアナとエンデュミオン

Diana and Endymion

ウォルター・クレイン

水彩、グワッシュ、紙、55.3×78.2cm(Watercolour and bodycolour on paper 55.3×78.2cm)

1883年頃(c.1883)

Dundee Arts and Heritage(McManus Galleries)

 

 エンデュミオンの話は、ディアナが眠っているエンデュミオンの美しさの虜となり、美と若さを保つ代わりに永遠に眠り続けさせた、という内容になります。

 

 美術展のカタログには、

 

 ウォルター・クレインは丘で眠っているところを見つけられたエンデュミオンと、狩りの姿のディアナを表している(カタログp152抜粋)。

 

 とあります。弓矢を背負い猟犬を連れていますので、狩りの女神ディアナそのものですが、個人的には処女神ディアナよりもセレネの物語として解釈したいなぁと思います。

 

No:0001_0004

ヴィーナスの誕生

The Birth of Venus

チャールズ・ヘイズルウッド・シャノン

油彩、キャンヴァス、105.7×107.7cm(Oil on canvas 105.7×107.7cm)

1923年(1923)

Aberdeen Art Gallery and Museums

 

 海の泡から生まれた美と愛の女神・ヴィーナスは近くの島に西風神ゼピュロスの風などにより辿り着きました。

 

 美術展のカタログには、

 

 シャノンの表現方法は感覚的だが一風変わっており、この主題の原型の大半とは異なる。普通は女神自身とその運命を支配するかのように、画面の中央にヴィーナスの立ち姿を置くのだが、この作品では、ヴィーナスは水の表面に重い体を漂わせている。溺れてほとんど死にかけたヴィーナスは、花飾りとともに、渦を巻きながら舞い降りるキューピッドの手で、ようやく救われるのである(カタログp162抜粋)。

 

 とあります。確かに他のアフロディテの誕生とは異質なイメージだと思います。フェリックス・ギラン 著/中島健 訳「ギリシア神話」(青土社)の「アプロディーテーの誕生」には、

 

 完璧な姿と精浄な容貌に加えて、人を惹きつけ征服してやまない優雅さがあった。「彼女は、きれいな顔にいつも愛らしい笑みを浮かべていた。」(p135抜粋)

 

 とあり、誕生のシーンとはいえ「溺れてほとんど死にかけた」というのはちょっと似つかわしくないかなぁと思います。でも、綺麗な絵でした。

 

No:0001_0005

祈り

Invocation

フレデリック・レイトン

油彩、キャンヴァス、134.6×83.8cm(Oil on canvas 134.6×83.8cm)

1889年(c.1889)

個人蔵(Private Collection Museums)

 ここには女性の踊り手または歌手が、そうすることでインスピレーションを受けられるように彼女のミューズに祈りを捧げている。少女は透き通ったヴェールをもちあげ、女神をまっすぐにみつめている(カタログp142抜粋)。

 

 カタログには「ミューズに祈りを」とありますが、この絵画を「ウェスタの巫女」とする説明もあるようです。ウェスタはギリシア神話でのヘスティアー(かまどの女神)です。

 

2012/03/31追記。